ネットワーク機器の転送処理能力(スループット)を測定してみた-スイッチ編

ノウハウ

ネットワーク機器のスループットを計測してみたくても本格的な計測機器はコスト面でハードルが高いのですが、ソフトウェアで簡単にできないか調べてみたところすぐに試せそうだったので、身の回りにいくつかあったスイッチをかき集めて実験的に試した結果とうまくいかなかった部分も含めてメモ代わりに記録します。

※ここで計測したスループットは簡易的な環境で実施したものでメーカーの公表値とは異なります。今回は実験結果の数値よりも、計測方法の参考程度になればと思います。

試してみた基本の構成

データを送受信するPCの間にスループットを計測したい機器を挟んだ構成を作る。作った環境はこれだけ。

スループット計測の基本構成
スループットを計測した時の基本構成

スループット計測に用意した機器

PCを2台(送信と受信用)

OS:Windows10
インターフェイス:1Gbps
計測ツール:フリーソフトウェア「Nana」

スループット計測ツールとして以前使ったことのあるフリーソフトウェアの「Nana」がWindows10にも対応し復活していましたのでこれを使用させてもらいます。

Vector: Nana(ネットワークのトラフィック負荷テスト&スループット測定)

スループットを計測したネットワーク機器

  • BUFFALO SMART HUB LGH-TX-T8
  • BUFFALO LSW5-GT-8NS
  • Cisco SG110D-08

ソフトウェア「Nana」を利用する

双方のPCでインストールした「Nana」を起動し、送信側と受信側の設定をします。

スループット計測ツール「Nana」の起動画面

画面上側に受信側PCで設定する「受信設定」、下側に送信側PCで設定する「送信設定」の各項目があります。

テストではUDPポート番号はデフォルトの12000を使用。計測したいデータサイズを入力して、「最高速」にチェックを入れてスループットの限界を確認していきます。

テスト機器とデータサイズについて

以下の機器について、何種類かデータサイズを変えながら試験をおこないました。

1つ目はバッファローの100Mbpsインターフェイスをもつスイッチ
2つ目はバッファローの1Gbpsインターフェイスをもつスイッチ
3つ目はシスコの1Gbpsインターフェイスをもつスイッチ

イーサネットフレームで送ることのできるデータサイズは最大1500バイトです。これに含まれるUDPヘッダ(8バイト)とIPヘッダ(20バイト)分の情報を除くと試験でデータサイズとして指定できる最大サイズは1472バイトとなります。

データサイズは小さくなるにつれてフレームごとにネットワーク機器で処理をする回数が増えてしまい結果的に負荷が余計にかかり転送効率も下がります。

スループットの計測結果

以下、3つのネットワーク機器に対して、64バイト/512バイト/1024バイト/1472バイトの4パターンのデータサイズで計測した時のスループット。

ネットワーク機器インターフェイス速度64byte512byte1024byte1472byte
BUFFALO SMART HUB LGH-TX-T8100Mbps77Mbps88Mbps92Mbps95Mbps
BUFFALO LSW5-GT-8NS1Gbps124Mbps570Mbps780Mbps778Mbps
Cisco SG110D-081Gbps119Mbps530Mbps778Mbps772Mbps
スループットの計測結果

「最高速」で送信をおこなっているためか、スループット計測中は結構ブレて安定しないので平均程度の値をピックアップしています。

一番目の100Mbpsバッファローの結果でみると最大データサイズ(1472バイト)に比べて小さい64バイトでは20%ほど転送能力が低下していることがわかります。

残り2つの1Gbpsのスイッチでは全体的な転送処理性能が100Mbpsのスイッチと比べて割合的に低く小さいデータサイズで受ける影響も多きすぎる気がするので一旦試験を終了しPCのみのパターンで処理能力を確認してみます。

機器インターフェイス
速度
64byte512byte1024byte1472byte
PC間1Gbps125Mbps562Mbps760Mbps789Mbps
スループットの計測結果

1Gbpsのネットワーク機器を間にはさんだ時とほぼ同じ値という結果になりました。つまり、PCの性能に引っ張られた結果となっている可能性が高いです。(最初にやるべきでした。。)

まとめ

バッファロー の100Mbps ハブはそれなりに計測できたかと思いますが、インターフェイス速度が 1Gbps のネットワーク機器の場合はPCの方が先に限界に達していると思われますので、参考にならない値になってしまいました。

1Gbpsのネットワーク機器に関してはもっとよいマシンで環境が整った際にルーターなど他の機器も含めて再チャレンジしたいと思います。

とりあえず今回の試験でわかったことは、専用ツールのおかげで個人でもざっくりだけど簡単に実際の転送処理能力を測れることと、データサイズの大小によって転送能力が大きく変化することがわかりました。

参考リンク

UDPヘッダのフォーマットとサイズの基本

Cisco のコンパクトスイッチ Catalyst 2960G-8TC-L レビュー


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