はじめに
ネットワークエンジニアに限らず未経験から専門的な業界へ踏み出すためには、専門的な経験や知識が必要になります。
しかし、経験を積みたいと思っても企業で使用しているネットワーク機器に触れることすらも難しいかと思います。ネットワークエンジニアになるために必須の資格などもありません。
それでも、多くの方は未経験の状態から模索しながら自分に合った勉強方法を探して学んでいます。ここでは、そのような方の勉強方法や、またネットワークの資格とはどういうものがあるかなどを簡単に紹介したいと思います。
書籍やインターネットで学習
一般的なネットワーク関連の学習書籍は一般の本屋などでも手に入りますが、サーバーやプログラム関連などの棚に比べて量は比較的少ないかと思います。
本の種類としては、ネットワーク構築、運用に関するものや TCP/IP ネットワーク全般についての専門用語の解説をまとめている本が多く、読者対象としてはネットワークの基礎や入門的な初心向けの本が多い印象です。ネットワークをこれから学ぶ方にとって選びやすくなっているかと思います。
なにを読めばよいかわからない方はとりあえず TCP/IP ネットワークについて中心に書かれているものや、ネットワークの仕組みについてやさしく解説してくれているような本などがおすすめです。
また疑問に思うことはインターネットでもすぐに調べることができます。実際の現場で働く方が解説していたり、用語説明などのサイトもたくさんありますので、インターネットと学習本をあわせて使用することで理解が進みます。
探しているほしいものが見つからない場合は、Amazonなどで自分にあったものを探す方法もあります。
本を選ぶ際に注意する点としては、ネットワークに限らず技術の進歩は早いので発行日が古くここ何年も改定されていないものは、あまりおすすめできません。
また、専門書は一般の本と比較して高額のため中古の書籍も選択肢に入れてもよいと思いますが、資格の本などは特に注意が必要です。
資格取得を目指す
資格取得を目指す勉強は、専門のスクールや書籍、学習サイトなどで資格関連の情報はわりと充実していてやりやすいかと思いますし、ネットワーク業界にどのような知識が必要かを知るには資格の勉強を通して理解することができるためおすすめです。
ネットワークエンジニアには資格を持っていなくてもなれますが、資格のための学習は効率的にネットワークに関する必要な知識の範囲を把握したり、就職の際に知識の証明に使ったりするのにも役に立ちます。
何かネットワークエンジニアの証明として資格がほしいという方や、何をどうやって勉強すればよいかわからない、という方は以下のような資格取得を目指してみるのもよいかと思います。
・ネットワークスペシャリスト
IPA(情報処理推進機構)がおこなう情報処理技術者試験の中の1つとなる国家資格です。
ネットワークシステムを構築するだけではなく、企画から運用・保守まで幅広くネットワークシステム全般に関わる高度な専門的知識と能力を持つことを証明できます。
合格率は低くおおよそ12~15%程度の難易度の高い国家試験となります。ネットワークエンジニアとして技術だけではない知識も身につく試験内容になっています。
・シスコ技術者認定
Cisco Systems が実施している企業などで使われる世界トップシェアのネットワーク機器メーカーのベンダー資格です。日本でもネットワーク機器市場で半分ほどのシェアを占めています。
シスコの資格は自社製品のネットワーク機器を扱うためのネットワーク技術を基本に、ネットワークエンジニアに必要な知識を体系的に学習するのにも役立ちます。
中~大規模ネットワークを持つ企業からも高い信頼を得て利用されていることから、シスコ製品を扱うことのできる証明となるこの資格はとても認知度が高くネットワークエンジニアにも人気の資格です。
試験の種類はたくさん存在し、レベル別に「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」のように大きく分類されています。さらにレベル別では、データセンターやセキュリティに特化した専門分野にも細かく分かれているので得意な分野にチャレンジすることもできます。
・ITパスポート試験(IP)
ネットワークスペシャリストと同じ IPA(情報処理推進機構)がおこなう情報処理技術者試験の中の1つです。iパスとも呼ばれます。
企業の経営戦略から情報系の技術の幅広い基本知識が求められます。直近の合格率は50%程度と高く、独学での取得者も多い資格です。そのため、技術者に限らずどの分野で働くにしてもIT系の知識に詳しいという証明になるため幅広い層と職種に人気の高い試験です。
対象者としては以下のように記載があります。
職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識をもち、情報技術に携わる業務に就くか、担当業務に対して情報技術を活用していこうとする者
ITパスポート試験(IP) 「対象者像」より引用
スクールで学ぶ
IT専門学校のように数年単位の勉強になるとハードルが高いですが、社会人でも時間を決めて自分の都合の良い時間にスクールで学習するという選択肢もあります。
スクールでは資格取得コースなどがメインになり、ネットワーク関連のコースは基本的に「資格取得を目指す」であげた試験に合格するためのスクールがほとんどになります。
ネットワークスペシャリストの試験対応コースは、テキストやWebによる学習コースが多いですが、逆にシスコの試験は実際のネットワーク機器を使った学習が重要になるので設備の整ったスクールで学ぶことが多いです。スクールに通う場合は自宅や通勤・通学経路の通える範囲に通いたいスクールがあることが前提になります。
かかる費用についてはスクールや学習内容によって変わるかと思いますが、WebやDVD、テキストなどを用いて学習する通信講座のコースはおおよそ3万円~10万円くらいで、スクールに通うとなると10万円~数十万円ほどかかるようです。特にシスコの試験は高レベルになるほどコース料金も高くなります。
また、スクールによっては修了後の就職サポートまで含まれているところもありますので、就職に悩みや不安があれば相談できるスクールを選ぶのも良いと思います。
いずれにしても、費用がそれなりにかかるので、一度資料請求したり疑問点は問い合わせしてみるなどして、じっくり検討することが大切です。
実際の機器を触ってみる
実際に現場で使われている機器に触れることは、ネットワークを仕事にする上で非常に重要な経験になるのは言うまでもありませんが、学習や資格取得にも効果的です。
実際に企業でネットワークエンジニアが操作することになるのはやはりCisco製ネットワーク機器になることが多いです。
まだ未経験の方が中古で機器を購入して設定の練習をしたり、勉強のイメージを補足するために利用することも少なくありません。
勉強のために購入するのであれば新品である必要はないので、中古で探すと新品と比較してかなり安価に抑えることができます。
ネットワーク機器の種類はたくさんありますが、ネットワークの基礎となるスイッチかルーターを選択する人が多いです。
Cisco の勉強用の中古機器として1台から購入することも可能で、CCNA や CCNP の資格の勉強用としてセットで販売している場合もありますので、興味があればインターネットからも購入できますので調べてみると良いでしょう。
とりあえず就職を目指す
実際に仕事としてネットワークに触れることができれば、業務に必要な知識や技術を素早く身に着けることもできるかと思います。基本的な学習をしながら就職先を探すのもモチベーションにもつながり良い方法です。
しかし、まったくの未経験だと心配なことも多いので、未経験や初心者でもOKというところでサポートしてもらいながら少しずつ慣れていく方法もあります。
人材派遣サービスなどで検索してみると、未経験からOKというところは少なくありません。業務内容を見てみるとネットワークの構築サポート・運用・保守などの募集が多いように感じます。経験がないうちはまずはこういったところで実務経験を積んでステップアップしていく方も多いです。
実際に企業が人材を募集するタイミングは一定ではないため、人材派遣サービスに登録したり、興味がある企業の募集枠がないか日頃からチェックしておくことをおすすめします。
最後に
ある程度勉強に慣れてくると自分流のやりやすい勉強方法が自然と見つかるかとおもいます。まずは自分にあった取り掛かりやすいものから気軽にはじめてみてはいかがでしょうか。
参考リンク
CCNA(Cisco Certified Network Associate) 新試験の概要
はじめての Cisco ネットワーク機器① 「起動~コンソール接続」
小規模オフィス向けネットワーク構築に必要な機器と選び方の基本
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