小規模なオフィスでもネットワーク構築の基本は変わりませんが、WiFiルーター1つでまかなえる一般家庭用のネットワークとは違い、法人用のネットワーク機器の構成は利用する現場の人数や環境によって柔軟に検討していかなければなりません。ここでは数人~20人程度の小規模の基本的なネットワーク構成に絞って、どのような機器を利用するのか、どのように選べばよいかの参考になればと思います。
基本的なネットワーク機器の種類
以下は基本的なネットワーク構成に必要なネットワーク機器の種類です。一般家庭で使用する市販のルーターではこれらの機能が一体化した製品が一般的です。しかし、法人向けでは高品質、高機能なそれぞれのネットワーク機器の特性を生かして柔軟な構成を必要とするため一体化していない製品が主になります。
- ルーター
- スイッチ
- アクセスポイント
わかりやすく機器の役割ごとに種類を分けてみます。そうするとルーターはインターネットと接続するため、スイッチとアクセスポイントは端末の機器を接続するための2種類に分けることができます。このように分類すると機器同士の接続関係もわかりやすくなります。
端末機器が多い場合は、少しスイッチやアクセスポイントも増やす必要があるかもしれません。そうすると、次はスイッチやアクセスポイントを集約するスイッチが必要になってきます。
このように実際の環境や要件に合わせ、柔軟に必要な機器を選択していく必要があります。また、思い通りの構成にするにはある程度のネットワークに関する知識と技術も必要となります。
参考に機器の種類ごとに以下で簡単に 説明します。
ネットワーク機器 – ルーター
用途
インターネットを利用するために必須。オフィス内部のネットワークに接続している端末等の機器はこのルーターを経由してインターネットへ接続できます。
その他の機能としては、ルーターの DHCP の機能があります。ネットワークに接続する端末は IPアドレスを自動取得することができるようになるため、端末ごとの IP アドレスの手動設定や管理が不要になります。
また、ルーターには拠点間や外部との接続を安全に結ぶ VPN の機能がついているものが多いです。
接続構成
LAN ポートの数は少ないので端末機器の接続はスイッチにまかせます。ルーターに接続する機器はスイッチやアクセスポイントに絞ればシンプルな構成になります。
選定基準
ルーターはインターネット側のポートと社内ネットワーク側のLANポートの2種類があります。
LAN側の速度も重要ですが、少なくともインターネット回線で契約している速度よりも高い速度のものを選びましょう。あとは、LAN 側で使用するポートが何個必要かは、社内で使用するスイッチやアクセスポイントなどのネットワーク機器の数を確認して必要なポートの速度を検討します。
ネットワーク機器 – スイッチ
用途
スイッチの用途は PC やプリンターなどの端末機器を LAN ケーブルを使ってネットワークに接続することです。
接続構成例
設置場所を確認し、それぞれのスイッチからルーターのLANポートと接続するポートを確保しておきます。スイッチが VLAN に対応していれば複数のネットワークを作成することもできます。
選定基準
重要なポイントは、「ポートの数」と対応する「速度」です。現場の環境にあわせてまずは接続する機器がいくつあるのかを確認して、接続機器が増えることも考慮して余裕をもったポート数のものを選びます。その際に、部屋ごとやデスクごとに設置したりといった設置場所によって必要なポート数も確認しておきます。
アクセスポイントに、LANケーブル経由で電源供給をできるPoE対応のスイッチもあります。
ネットワーク機器 – アクセスポイント
用途
PC やプリンターなどの端末機器を無線でネットワークに接続するために必要。
構成例
ルーターの LAN ポートと接続するか、電源の確保が難しいなら PoE 対応スイッチに接続することも検討します。
選定基準
縦置き以外にも壁や天井など設置場所によって形にも違いがありますので、事前に設置場所を確認します。無線規格によって電波の届け方の特徴が違ったり、通信速度も変わります。現在は通信速度の速い IEEE802.11n や IEEE802.11ac にも対応していると安心です。
また、無線 LAN でも VLAN を作成したい場合は、VLAN をサポートしている機器を選定します。アクセスポイントでは複数の SSID を VLAN に紐づけることができます。サポートする SSID 数は機器により異なります。
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