DNS は IP アドレスとドメイン名を対応付けて管理するためのプロトコルです。Web を閲覧する際や、メールの送受信を行う際にもドメイン名から IP アドレスを知るために、意識せずに利用されています。ここでは実際にインターネット上ではどのような仕組みで DNS が動作しているかなどを説明します。
DNS(Domain Name System)の概要
DNS はアプリケーション層のプロトコルで主な目的はドメイン名から IP アドレスを解決するために利用されています。解決のために用意されるのは DNS サーバーです。
インターネット上には多数の DNS サーバーがあり、ドメイン名と IP アドレスの情報を連携しながら、クライアントからの問い合わせに対して対応する IP アドレスの情報を返答しています。
クライアントがドメイン名から IP アドレスを DNS へ問い合わせて解決することを「名前解決」と呼びます。
ドメイン名の形
ドメイン名は、人にとって馴染みのあるわかりやすい形で表現されます。たとえば、Webサイトの場所を示すためのドメイン名は 「www.sample.co.jp」 のようになります。
なぜこのような形にしているかというと、IP アドレスのように182.125.43.XXX の形になるとコンピュータには都合がよくても人が覚えることが難しくなるため、インターネットでみんなが利用する Web サイトやメールなどには識別しやすいドメイン名が使われています。
ドメイン名は、ドットでレベルごとに区切られ、一番右がトップレベルドメインと呼ばれています。トップレベルドメイン(TLD)の種類は2つあり、世界中でどこでも利用できるもの(gTLD)と、国によって分かれるもの(ccTLD)の2種類があります。
実際にはWebサイトやメールアドレスでドメイン名は以下のような形で使われます。
ドメイン名の管理
ドメイン名は対になる IP アドレスと同じく住所を示す情報であるため、一意である必要があります。そのため、ICANN という管理組織が世界中のドメイン名を統括して管理しています。
ICANN はドメインごとに管理を委任しており、日本の JP ドメインについては株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が委任を受けて管理しています。
実際にユーザーが JP ドメインを登録申請する場合は、JPRS と契約している指定事業者に申し込みを行うことになります。
DNSサーバーの種類
DNS サーバーはその役割によってサーバーの種類を分類することができます。インターネット上のすべてのドメイン名と IP アドレスの情報を登録するとなると膨大な量になってしまうので処理を分散するために、役割ごとに DNS サーバーが用意されています。DNS サーバーの種類は大きく以下の2つに分類されます。
・キャッシュサーバー
・権威サーバー
キャッシュサーバーはクライアントから直接ドメイン名の問い合わせを受けるDNS サーバーです。目的の IP アドレスが解決されるまで権威サーバーへ段階的に問い合わせを行います。
また、一度問い合わせて解決したドメイン名と IP アドレスを記録して自身で保持(キャッシュ)しているため、再び同じ問い合わせが来た場合は権威サーバーに問い合わせはせずに直接クライアントへ IP アドレスを返答します。
権威サーバーは、階層的な体系になっており、ルートサーバーはトップレベルドメイン(TLD)をもつサーバーの IP アドレスなどの情報を管理しています。さらに配下に階層ごとに第2、第3レベルドメインを管理しているサーバーがそれぞれ存在します。
DNS の動作と仕組み
例として、クライアントが 「http://www.sample.co.jp/」 の Web サイトにアクセスしようとした場合に、どのように IP アドレスを解決するか以下で順に説明します。
クライアントは一般的にプロバイダーなどが用意するキャッシュサーバーに対し、www.sample.co.jp のIPアドレスを問い合わせします。①
キャッシュサーバーはクライアントから直接ドメイン名の問い合わせを受けると、ルートサーバーに問い合わせを行います。ルートサーバーはドメイン名を確認して .jpドメインを管理するサーバーの IP アドレスを返します。②③
返答を受け取ったキャッシュサーバーはその IP アドレスをもつ DNS サーバーへ問い合わせて、次に問い合わせするべき co.jp サーバーの IP アドレス情報を受け取ります。④⑤
キャッシュサーバーと権威サーバーとで同じ動作を繰り返して、最終的に目的のドメイン名と IP アドレスの情報をもつサーバーから IP アドレス情報を受けとります。⑥~⑨
キャッシュサーバーは sample.co.jp のDNSサーバーから受け取ったwww.sample.co.jpの IP アドレス情報をクライアントへ返します。⑩
独自ドメインの取得
DNS で使用するドメイン名は人にわかりやすくなるべく覚えておいてもらえるやすくするために作成することがそもそもの目的です。独自ドメインがほしい場合は、まず インターネットで 申請する前にほしい名前を検索することができます。
ほしいドメイン名はすでに取得済みで利用できない場合もありますが、類似するドメイン名を提案してくれたりする場合もあります。現在では日本語で表示可能なドメイン名などもあります。
申請すればだれでも独自ドメインを使うこともできますし、手続きが難しい場合はプロバイダーのサービスで独自ドメイン取得代行をお願いできる場合があります。
独自ドメイン登録にかかる料金は、.com や .jp などのドメインの種類によって金額も変わりますが、一般的なものでも1年間の契約で数百円~数千円程度で利用可能です。また、一定期間後に返却か更新をしなければなりません。
参考リンク
IPアドレス(IP Address)とは – 概要と基本の形
NTP (Network Time Protocol)とは – 概要と基本動作の仕組み
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